「奈良少年刑務所保存・活用」プロジェクト(資料編Ⅰ~Ⅴ)


「奈良少年刑務所保存・活用」プロジェクト(資料編Ⅰ)

座かんさい土曜塾「復興と再生の視点」で得た情報・考え方を参考に上記プロジェクトの企画を行う。ともすれば社会的弱者になりかねない“こども”を主対象にして“こどもが育つ場”として構想する。(既存施設の建築文化的価値とそのイメージを継承)以下現時点(2016.11.28)での検討事項を列挙する。
● すでに話題になっているが、具体的な資料(図面等)は入手困難。しかし先行して“ホテル案”が存在。
 
● 立地環境
築約100年の既存施設の状況は、人里離れた山林(社会から隔離?)。現在もスポーツ施設(鴻ノ池陸上競技場)、娯楽遊園地(ドリームランド、閉鎖)寺、農家等、特徴の少ない風景が続く。旧市街(東大寺転害門、正倉院)から10数分、東に若草山を臨む。敷地規模約10万㎡。

● 入手資料 
経済的視点中心の事業の採算性(商業)での可否。地図は黒塗り。

● 企画構想

➀ 次世代の幸せ、飛躍を期し、既成の枠組み(通念)から脱した“こどもが育つ場”を目指す。

➁ 理念を、きのくにこどもの国学園(一種の自由学園、堀慎一郎校長)の延長線上に置く(個性・体験・共同活動・自己判断)

➂ 例えば、こども共和国ではプロの先生(専門家)が“出前”授業を行ないカリキュラムを実施、単位を認定する。学びと働らきが共存する生活を想定。

➃ こどもの成長を促す多様な分野を柔らかく括り、立地環境(鴻ノ池運動公園)の相互活用も視野に、いわば仮想国の省庁的機能を考える。

➄ 職能(農業・生産)、芸術(ココロ)、スポーツ(遊)、交流(合宿)、運営(6次産業)等々。

➅イメージ 

保存・活用は基本的に既存の有効活用(コンバージョン)であるが、社会の急激な変化にサステナビリティをもって対応するためには、施設全体を固定的に計画しすぎない(可変)とする。

*建築 
既存建物耐震補強は鉄骨+レンガ(レンガのみでは、補強後の原状回復が困難なため)
修復・新築建物はレンガを中心に極力木造(表現)
但し総合的なデザインは、保存建物と同調が基本だが、積極的に現代技術を活用。

*外周壁(塀)
重厚なレンガ塀を“こども共和国”のシンボルに転化。長く続く砦は“国”の顔だが町(奈良)との接点は高木で緑化(古梅園の作業空間/城壁に囲まれたヨーロッパの歴史的小都市)

*回廊
外周壁内縁に内部動線を新設し、施設各機能を外回りで結ぶ。

*保存棟は合宿(寮)可能な宿泊機能。北側に来客用宿泊棟(ホテル)、教室棟新設。

* 既存構築物(保存棟以外)は、企画主旨に合わせ改修又は、撤去する。

* サービスは、北側構内通路を(現状職員宿舎?)を主動線と考える。

* 中庭は果樹園、花畑等の実習農園を兼ねる。

➆事業

既存の環境を積極的に共有する。

運営:NPO、ボランティア団体。

支援:国(文科省・文化庁、経産省、農水省、他)、自治体、企業、寄付。

収入:宿泊関係(陸上部等の合宿、修学旅行、海外研修生、一般)、貸会場(体験学習の場)、成果産品(地域野菜/果実/花。クラフト/美術作品、他)販売。ボランティア活動(各種イベント支援/交流、休耕田管理、町づくり、他)。食事・カフェ。

【以下は公開資料入手(11/28)後の補足】

➇ *主要なレンガ建造物(航空写真参考):舎房/庁舎/外塀/廊下/倉庫/医務所/病監/表門/拘置監

* 敷地面積:約10万㎡(区域不明)

*本建築物の延床面積:約15,000㎡

第1寮:約590㎡(延1,400㎡)、第2寮:約590㎡(延1,400㎡)、第3寮:約500㎡(延1,200㎡)、第4寮:約690㎡

(延1,400㎡)、第5寮:約770㎡(延1,500㎡)、庁舎:約1,000㎡(2,800㎡)。以上2階建て、他は平屋。

他に未決区と少年鑑別所(1,400+600=2,000㎡)

*舎房規模(想定):10.4m×57.0m(3.6mグリッド程度か。資料から3.6×7.2m)

➈ 2016年11月22日の寮美智子氏の講演(同氏F.B.参照)

“こども目線”での文化を!(活用→文化的~ホテル?)

少年の更生≒こどもが学ぶ

➉ 資料(航空写真)から推定

● 10万㎡の敷地規模/西側隣接に鴻ノ池運動公園、山林。
 こども(少年)が育つ場に特化した文化+宿泊施設として。

(11) 保存する棟の平面形の特徴を生かす。(動線は管理上の1点集中→回遊(復帰)のプロセスが大切)

(12) 5つのウイングに個性を。

*スペース(文化財)とアートの日常生活→美術館ホテル(NARA ART LIVING)

*学校機能+アトリエ(工房)群機能+宿泊・研修→自由学校・交流(国際)

*5棟のスキ間の中庭には野外彫刻(安田 侃氏)

*舎房として室内環境(エアコン)は?→レンガ造りの文化財でもあり、設備改良は困難

*奈良ビエンナーレ(古代~現代)アートオリンピック5大陸。奈良の歴史+自然環境+可能性↔国際化(ネット)

【別案】(奈良少年刑務所の保存・活用プロジェクト)

● 奈文研移転案

○ 奈良には古代以来多くの文化財が集積している。さらなる統合化が必要。

○ 研究拠点として国立奈良文化財研究所は実績(収蔵品を含め)がある。

○ 博物館的機能を付加、収蔵展示(保存建物活用)等、充実を諮り市民に開放。

楽しい施設とし、後継者の育成、市民・所員の交流、個性ある施設構成(総合研究所、展示ホール、教育機能・養成所・実習室、宿泊室、レストラン、他)

○ 奈文研移転後、跡地に平城宮跡活用(借景共)のため、長期滞在型の宿泊・イベント施設。

● こども共和国案(補)

○ 諸々の社会的弱者支援の多様な拠点施設。

○ 既存の同系の施設とのネットワーク構成(広大な敷地、スポーツ、“健康”志向、等々)

○ 敷地全体を個性化(保存建物、農園-果樹園・花畑、野外彫刻、自主運営=こども)

○ 明日香村の同系施設統合

○ 跡地活用 古代文化を体感できる長期滞在型の宿泊機能

   *   *   *   *   *   *

「奈良少年刑務所保存・活用」プロジェクト(資料編Ⅱ)

● 報道によれば、

2016.10 重文指定「旧奈良監獄」

2017.3末 奈良少年刑務所閉鎖

2017.5 業者選定(有識者会議の意見を踏まえ)

2019.10 オープン予定

*改修とその後の運営を担う企業グループを法務省が募集(PFI方式)
 公募中(1月中旬から)

*耐震改修費見込み 約36億(半額国補助)

*重文は現状保存が原則。少なくとも舎房1棟は完全に残す制約。

文化財の価値+収益

資料館の方針(法務省)も

● これまで座かんさいの検討(情報は限られている。公開後具体案検討)

1⃣ こどもが主人公の地域特区

2⃣ 文化財研究施設の移転・統合による活用
  提案(2017.2.4)

3⃣ 世界文化遺産の理想・趣旨にもとづく共感(ホンマモン・ヨリドコロ)の場
  
国際交流、多様性の体験と理解(古代-歴史〈1,200年〉-現代の東アジア)
  
研修所(教育)+宿泊施設。「東アジア歴史文化研修センター奈良」

4⃣ 古代以来継承されてきた文化(伝統)を体験する場
  
歴史対象をモノからコトへ。大寺の背景を修学。
  
感性の継承(芸術・美-道具/古民家博物館大和)奈良文化再生基地

5⃣ 地域環境の特性を「静」的に生かす=少年刑務所(ココロ/幸セ)
  
古墳文化を継承する納骨堂。果樹園、美術館への墓参り+ホテル+ホスピス。
 
  社会的弱者の受け入れ・カケ込ミ寺/墓地公園+野外彫刻

● 2017.1末の結論(法務省の公募が始まっている。公募用紙等入手必要)

〈前提〉文化財は国民の文化の証しであり、世界の人々がそれらが生み出す感動を共有するところにある(世界文化遺産-ユネスコと同じ)。

〇 重文指定への対応

外観:10万㎡に及ぶ敷地のランドマークとして(主役)。他は脇役に徹する(参考、京都博物館)
内部:小区画(舎房)活用。情報・展示(個室-レンタル的)、工房・体験

〇 機能(1⃣~5⃣の内容を含んで整理)

刑務所の社会復帰の諸作業・体験をこども・若者、社会的弱者に拡充・継承(ミュージアム)。
関西を中心に古来からの文化財(遺跡共々)を研究。次世代、東アジヤにつなぐ「場」(研究所・学校)
    ↓
〇 奈良の歴史・環境(正倉院、春日大社、東大寺他)を統合できる研究センター

・長期滞在(研究生、教官、留学生他)用の宿泊施設

・庭園+農場(実習作業、地産・地消、体験)+自由学校と協働カリキュラム。運動公園含む。

・奈良県内外の管理が十分でない文化財を収蔵展示(古文書、保管等々)

〇 イメージとして、こども・若者宿泊施設(例:ユースホステル)+ 文化財研究センターとその付属専門学校(実習体験)+ 庭園(彫刻)

   *   *   *   *   *   *   *

「奈良少年刑務所保存・活用」プロジェクト(資料編Ⅲ)

● 1/31後の情報(インターネットでオープンな情報収集)

2016(H28)10.21 重文指定
   
28.12.8 実施方針(募集要項1)公表
    
9 説明会
   
29.1 質問回答

2.24 資格審査

4.17 提案受付

5上旬 決定(選定委員 石田潤一郎/山下洋輔他11名)

8   契約
  
H28.12.8〈法務大臣〉民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(第5条第1項)による特定事業の方針決定・公表

● 事業の内容
  
 (1) 改修 重文施設の耐震改修、公開のための整備
   
 (2) 資料館運営  

➀ 維持管理(建築・整備+外構)

➁ 運営(史料整備・保存/広報・展示・案内/施設利便性向上)

➂ 付帯事業(史料展示以外活用の提案)
 
事業期間 契約後30年間(最長60年)
 
対象施設 17棟(募集要項)

〈注〉当初のニュースと異なる重文指定により変更か
 
既存図面は未公表(2/24現在)

● 要求水準書

改修業務 (ア)特記事項(イ)五棟のうち四棟以下改造可

〈注〉平面詳細・断面詳細未公表(必要最小限) 

外観/中央通路・階段保存。典型的室各階1室以上。

独居房内部境界レンガ壁、床 撤去も可→明示・部材保管

● 提出書類(提案関連)

各様式の記載事項(基本方針・改修業務-耐震改修/図面/未決収容機能)

(史料館運営業務)

(事業計画)

(地域との共生)

〈注〉提案審査 事業計画/耐震改修/維持管理/運営

● 事業内容公開後の検討

□ 地元(奈良)にとって保存・活用のメリットは?

 登録文化財は観光資源になるか?

 地域との交流・活性化の機会か?

 社会復帰(涵養)指導の継承は可能か?

□ 文化・観光都市としての視点

 滞在型観光客 増へ奈良回遊基地、統合-東アジア地域(大寺院、自然、歴史等)

□ 具体策へ

 体験する環境教育  教育のあり方のモデル地区

 風土・歴史と文化財(宝)の体験  古墳・遺跡とまちの関わりテーマ(吉野、明日香、奈良)

 研究・実習の実践  東アジアから世界へ(歴史・文化センタ- → 次世代へ継承)

* まとめ
 
 文化財(100年のプロセス、実績)が生活の近くにある豊かさ。それを生み、育ててきた風土を体験する“しあわせ”(風景・環境を総合有効活用→地価アップ=財産)“美しい”の体験、更生事業の評価・継承→シンプルな理念(ホスピタリティ) 
   
* 蛇足
 
偏見を含め、このような施設が近隣にあるということは、葬儀場・高齢者施設・幼稚園すら立地が困難なわが国では、居住環境として不動産価値に影響する(移民、原発事故避難民に関わるイジメ問題も同根)
  
100年以上刑務所として存続してきた事実とその他の印象、加えて古都以来1,000年以上も開発的変化がじなかった。大寺院に近接した“まち”。近接住民(自治会他)生の“ツナガリ”は形だけのものだったのか。
  
奈良、平城京の一条大路北縁には御陵、古墳が連続し、東方は寺院、神社、地形(山)でガード(元々平城京立地の条件?)それでもさらに北方への遷都が続いたのは、旧都の諸勢力からの離脱あるいは新勢力の誘いがあったのかも。交通(流通+軍事)の利便性(瀬戸内-淀川-琵琶湖-日本海-東アジア)

少年刑務所の当時の立地選定に明治期の廃仏毀釈(抵抗が少ない?)の流れ、“西洋化”のイメージ戦略と失速→日本文化ヨイショ!(正倉院、春日大社、大寺の復興)が続いた結果にあるのかもしれない。出版された“美しい”刑務所の写真集に東大寺、若草山の遠望。これは少年の“よりどころ”なのか。

人間の“罪と罰”、万引きから戦争まで、この困難な問題に「史料」は展示(公開)可能であろうか?

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「奈良少年刑務所保存・活用」プロジェクト(資料編Ⅳ)

以下に活用計画を6項目、列記します。

●「奈良少年自由の村計画」

100年余の歴史をもつ重要文化財 奈良少年刑務所は何を保存・活用するのか?
私たちは受刑者に対する“ホスピタリティ”(弱者支援と同様の)継承こそ事業(法務省プロジェクト)の要点と考える。

具体的には計画施設は利用者の個性が十分育つ状況を目指す。これまで継続・評価(実績)されてきた“ホスピタリティ”の対象・プログラムを発展的に継承する。

キーワードは「つくる」(生きる力)

●「つくる」を可能にするために

個性に応じた自由な選択/適切なリーダー/施設機能 

自由な選択は、共同体験と自己決断をともなう。同好(共有・共感)者のグループ化。作業空間を共にし、共同生活(合宿)、成果(作品)の公開・評価。

● 舎房を“シェアハウス”として

既存の舎房の計画は、個から群のストレートな解釈で「つくる」要素(工場、成果展示、共同作業場、他)は不自然、なかま(他者の眼)-共同の場が必須である。但し十分な解決は困難(耐震補強や動線)なため。

● ゲストハウス(コンドミニアム)を

補完する意味で敷地内に新設・付加する。立地条件からの新たな機能。

国内外から指導者、研修生、修学旅行生のグループの宿泊。古代から変遷する社寺を実例とする木造大規模建築、築100年余年洋風煉瓦建築(重要文化財)の研究所(耐震性能、他)

● 10万㎡強の敷地

農業体験(6次産業)、個性ある風景(緑と彫刻と煉瓦)の組み合わせ。

保存・活用と矛盾する建造物は整理・撤去。

●「つくる」場のイメージ
学校の部活延長から、より実務的(専門分野)、地域コミュニティと協調、埋蔵文化財技術、ガイド、情報収集・発信。

“こころ”、“感動”をつくり共有・交感。

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「奈良少年刑務所保存・活用」プロジェクト(資料編Ⅴ)

情報どうりに進んでいれば、上記の法務省事業プロジェクト4/17提案期限(資料編Ⅲ)。5月上旬に審査。事業の民間業者が決定される。新聞・TVニュースで明日香村(星野リゾート)に続き、奈良公園にも高級ホテル(設計隈研吾?)計画情報。一方、奈良を思う方々の意見(モンベル社長/ニュージャパン社長/他)も。

昨年(11月22日以来)手に入る情報を頼りに「座かんさい」の考え方を検討してきた。(12月、1月、2月、3月例会資料)⦅奈良少年刑務所平面で検索中「座かんさい案」を見つけた⦆。応募〆切後(3月末)在来の施設機能は終了(廃庁)したはずだが、図面等関係資料の公開はない。
奈良県、奈良市の観光振興策の結果か?商業主義(収支最優先)の誘惑に乗る国(法務省他)。地域住民の声はマスコミにも遠い。

ここで最近の出版物(例会で回覧済)「写真集 美しい刑務所 寮三千子・松永洋介企画(2016.11.1)」に掲載の寄稿(P89-129)「わたしたちの刑務所」、私が注目した(考え方に近い)内容をピックアップしておく。“守る会” 的なグループが存在していたらしい。「奈良少年刑務所を宝と思う会」2014.10 等。“ 廃庁 ” をうけてか。

●〈あたたかな刑務所〉 歴史に育まれた更生教育

寮三千子  社会性涵養プロゴラム。「人権」の根本を生きた形で実践、継承。

田中睦   職業訓練が大切。受刑者(OB共)講座開催と滞在機能。

大川哲次  更生教育<廃庁ありき

露の新次  更生教育が重要。

脇野真一  矯正教育の伝統の受け皿。ケアハウス/フリースクール/カルチャーセンターの民間委託に注目。

上司永照  地元・家族的雰囲気。聖武天皇「責めは我一人にあり」(東大寺建立)から。

●〈みんなの刑務所〉 地元と揺るぎない絆

横田利孝  「北山十八間戸」(福祉施設、僧忍正、鎌倉時代)が近い。創立百周年「矯正展」・山下洋輔JAZZコンサート。

小井修一  防災拠点/高齢者への配慮

前田久美子 地元の心配

新井忍   お隣は愛すべき刑務所

谷規佐子  心の教育プログラムと職業訓練の継承

●〈なつかしい刑務所〉 煉瓦作りからスポーツ交流まで

鈴木啓之  煉瓦の焼き方指導(瓦屋)

高井啓介  屋根の葺き替え工事(~2007.6年間)

山中千恵子 豚の採血

濵田恒一  包括教育

四本雅勇  スポーツを介して

●〈たいせつな刑務所〉 近代建築の保存・活用

前畑洋平  現状を、たとえ部分でも。資料館として活用。住民参加

神吉紀世子 まちと一体化した文化遺産価値。社会的包摂性(育まれてきた日常性)

馬場英男  赤煉瓦ネットワーク

●〈わたしがいた刑務所〉 丙の中の風景

大田憲一朗 ホテル?観光地になる?

前田剛   ボロかった。当たり前の施設を。

シンタロー “ 呼吸している” 既存建物。天井までアール、便器、窓。1840㎜x2880mm の箱。扉厚み70㎜、15㎝角食器孔。

高田鑛造  凍傷になった。

●〈夢見る刑務所〉 未来への提言

北夙川 不可止 「歴史を生かして未来を作る社会」、「国有財産=国民の共有財産」=すべての人間対象ミュージアム(矯正行政)

川井徳子   若者が集い楽しい場。慈愛と寛容に満ちた未来を創るための象徴

●〈美しい刑務所〉 明治の名煉瓦建築

藤森照信   “ ハヴィランド・システム”(放射プラン)=1点望視+独居房制+設備充実 日本独自(明治以降)作業・食事・入浴は共同。教誨堂

石田潤一郎  奈良近代化遺産調査報告書(奈良教育委員会 2014)より、独居房 1.5坪 / 雑居望 2.5坪 / 定員 650名 明治41(1908)第二(第4寮先端)、第5(第5寮の先端)実習室=木造・下見板(現状モルタル塗)

以上は、この事業に対する要望として当然であり、今後検討に値する。しかし、煉瓦造保存の技術的(コスト共)制約が、既存諸室の新たな機能を限定する。特にユニークな舎房棟(第1寮~第5寮)は単なるリニューアルは困難。

独居房(1.84×2.88m)は隣室との間仕切壁が撤去できても室奥行 3.0m 以下。加えて高窓、扉内法 h<1.6m(?)。この一般建築と異なる特殊な形状は、長期の事業対象としてはリスクが大きい。(高級客車、飛行機、VIP車両等参考にはなるが)