座かんさい土曜塾2018 東北縄文ツアー

台風に追いかけられるように早朝京都出発。伊丹空港から青森空港へ。双発機(ANAボンバルディア)の飛行高度が低いためか、座席と窓外の関係が自然(列車のように)で、久し振りに変化に富んだ日本列島の風景を楽しんだ。美しい日本海と空の旅の見張り番的な、遠方にいつまでも見える富士山。

三内丸山遺跡に立つ西村座長

十和田湖

板状土偶(三内丸山さんまるミュージアム)

遮光器土偶 (是川縄文館)

大型竪穴住居の内部(三内丸山遺跡)

大型掘立柱建物と大型竪穴住居(三内丸山遺跡)

7月3日

青森空港からレンタカーで大湯環状列石(BC.2000~1500史跡)万座/野中堂を“熊”に注意して歩く。広大な遺跡だが列石のスケールが貧弱に見え、(軸線)が意味あり気なこと以外、“アニミズム”を感じる雰囲気はない。

十和田湖をほぼ1周。太古の火山湖。青森他東北の地形に大きな影響を与えたとされる東北の原点か。こどもの頃から日本地理でお馴染みだが、通り雨の湖岸は多くの旅人による古典の通り、情緒は深い。
三内丸山遺跡の初日は閉館時間に近かったが、概要は理解できた。発見のニュースから、縄文館の設計コンペ、長年憧れてきた風景。直感的には-3日共変化はなかったが、縄文の諸々の記憶を現代に継承する装置としては受け皿(箱)のもつ印象は弱い。

土器をはじめ遺跡から発する気(パワー)に、理屈っぽい現代建築は対応できていない。地層を模したタイルの壁/金属サッシ囲まれた空虚な中庭/節度のないサイン/発掘現場を見せるプレファブ建築(復元?)。シンボルになった巨大な木造架構(復元)に屋根が未定なことが救い。

しかし、ミュージアム展示の土器。土偶、石器には圧倒された。特に是川縄文館見学(国宝の合掌土偶はお留守だったが)後、年代による土器の流れについて。(伝統と交流の蓄積、簡単な素材で造る縄文土器の力。表情の不思議な魅力)

7月4日

新青森から八戸へ新幹線二駅。雨、タクシーで是川縄文館へ。“八戸”の記憶も古い。当時の八戸市長一行の大阪訪問(企業誘致?)時の講演会。八戸出身のアーティストの友人。是川縄文館の設計者の知人等々。“八戸”の日曜朝市(テレビ放映)にも興味をもつことに。

2階建・小規模な縄文館の外観には、内部展示や図書スペースの充実さに比較して、残念ながら興味はわかない。館の展示空間の充実さが三内丸山と異なるのは、規模-結果的に収蔵品の密度、工芸上のレベル、設立の経緯(泉山兄弟)。そして何よりも館運営上の企画エネルギーにあると思われる。

7月5日

早朝から雨。通学のこども達と一緒に本八戸駅へ。八戸駅から新青森駅へは新幹線。三内丸山に3日目の訪問。台風余波の天候の中、遺跡を見渡せるタンポポの黄色い草地の広場で縄文5,000年の空気を思いっ切り吸い、記憶に刻んだ。

ところで、初日は青森、2日目は八戸にて、座かんさい同人紹介による居酒屋へ。店主や隣席客(女性詩人で京都在住 ! ) に旅のケジメはつけた。“揺れ”の続いた飛行の後、伊丹空港のピザハウスで打ち上げ。使い古した破れ傘と杖姿で自宅着は22時00分、大雨警報の中。その後2日間、京都の自宅に籠もりっきりの避難生活。

建築美術工芸同人 座かんさい 座長 西村征一郎

(写真 / 編集 座かんさい同人 今北龍雄)